【書評・感想】『呪いと殺しは飯のタネ』謎の依頼と奇妙な報酬。感電するような刺激の正体とは?!

ゴマの読書記録

貴方の浸かっているぬるま湯に、火花飛び散る裸電線を放り込むような刺激を約束します

どうも、ゴマ(@gomago_gomago)です。

今回は烏丸尚奇さんの『呪いと殺しは飯のタネ 伝記作家・烏丸尚奇の調査録』を紹介します。

第20回「このミステリーがすごい!大賞」隠し玉であるこちらの作品、ゾクゾクするような展開もあり非常に面白かったです。

『呪いと殺しは飯のタネ』あらすじ

第20回「このミステリーがすごい! 大賞」隠し玉作品。「感電死するような刺激を約束します」。小説家としての道で挫折し、現状に不満を覚えながら伝記作家として細々と生計を立てている男・烏丸。彼の元に、ある大企業の創始者・深山波平の伝記を書いてほしいという依頼が来るが、そこには金銭のほかに「刺激」を約束すると書いてあった。妻は自殺、次女は失踪。心筋梗塞で波平が死亡した後、唯一残された長女は植物状態に。大企業の創始者一家でありながら、呪いのような不幸に見舞われ続ける一家・深山家。一家を調べるうち、烏丸は「蝶野森の魔女」と呼ばれていた次女の血なまぐさい奇行や、監禁と拷問の跡が残された地下室の存在を知る。深山家の「刺激」で小説家としての再起を果たそうと烏丸が決意した矢先、新たな殺人事件が起こり――。

宝島CHANNELより

『呪いと殺しは飯のタネ』感想

『呪いと殺しは飯のタネ』は第20回「このミステリーがすごい!大賞」の隠し玉の1つです。

隠し玉ってどういうことゴマ…?

「隠し玉」というのは、「賞は取れなかったけど作品にしたい」という応募作に与えられる編集部賞のようなものです。

有名どころで言えば、映画にもなった志駕晃さんの『スマホを落としただけなのに』や以前に私が書評記事を書いた『公開処刑人 森のくまさん』が隠し玉として出版された作品です。

 

『公開処刑人 森のくまさん』の書評記事はコチラ。

 

隠し玉の作品多すぎない?と思ってしまうのですが、それだけ良い作品が多いということなのでしょう。

 

さて、ここからは作品の内容にも触れていきます。

『呪いと殺しは飯のタネ』の主人公は、伝記作家である烏丸尚奇。

小説家として挫折し、伝記作家として細々と暮らしている主人公ですが、この作品の作者と同姓同名です。

ここがこの作品の面白いところの1つで、『呪いと殺しは飯のタネ』は作者の実体験という体で物語が進みます。

 

物語の発端は主人公・烏丸に宛てられた深山波平の伝記を書いてほしいという依頼。

報酬は高額な金銭と「感電死するような刺激」

現状に不満を覚える烏丸は、この刺激を求めて依頼を引き受けます。

 

深山波平について調べていくと掘れば掘るほど謎が出てきます。

妻は自殺、長女は植物状態、次女は失踪。

さらに調べていくと、深山波平の異常さと次女の奇行が次々と浮き彫りになっていきます。

「これを伝記にするのは波平にとってメリットがあるのか?」という疑問を浮かべつつも、小説家として再起するチャンスだと思い、烏丸はさらに詳しく調べていきます。

果たしてこの不思議な依頼の正体は一体何なのでしょうか…。

 

この作品の面白さは徐々に表れてくる奇妙さにあります。

「伝記を書いてほしい」と言われたはずが、調べれば調べるほど出てくる波平の異常さと次女の奇行。

だんだんと悪意の沼に引きずり込まれていくような感覚。

一体どのような結末を迎えるのか、中盤以降はページを繰る手が止まりませんでした。

 

最後にはハラハラドキドキの展開も待っています。

とても面白い1冊でした。

個人的にはこの人が鍵になるんじゃないかなあと思っていたのですが、全く違いました。

結末を予想するのは難しいですね。

終わりに

ということで、本日は烏丸尚奇さんの『呪いと殺しは飯のタネ 伝記作家・烏丸尚奇の調査録』を紹介しました。

これだけ面白い作品でも大賞が取れないあたり、「このミステリーがすごい!大賞」のレベルの高さが伺えます。

 

本日はここまで。
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