【書評・感想】『透明人間は密室に潜む』本格ミステリ好きにおススメしたい新・本格ミステリ!

ゴマの読書記録

透明人間病。細胞の変異により、全身が透明になってしまう恐ろしい病だ。現在、日本全国で約十万人、全世界では七百万人の発症が確認されている。人類史上初の症例が確認されてから百年余り。透明人間の存在は、社会システム、軍事、各国の諜報戦に大いなる混乱を巻き起こした。その混乱も去り、透明人間と共生する社会のあり方が模索されるようになった。

どうも、ゴマ(@gomago50gomago)です。

今回は阿津川辰海さんの『透明人間は密室に潜む』を紹介します。

ずっと読みたいと思っていながら読めていなかった作品でしたが、9/13に文庫化したためこの機会に読了しました。

『透明人間は密室に潜む』あらすじ

本格ミステリの魅力と可能性に肉薄する4編。
透明人間による不可能犯罪計画。裁判員裁判×アイドルオタクの法廷ミステリ。録音された犯行現場の謎。クルーズ船内、イベントが進行する中での拉致監禁──。
絢爛多彩、高密度。ミステリの快楽を詰め込んだ傑作集!

光文社より

『透明人間は密室に潜む』感想

『透明人間は密室に潜む』には以下の4つの物語が収録されています。

  • 透明人間は密室に潜む
  • 六人の熱狂する日本人
  • 盗聴された殺人
  • 第13号船室からの脱出

4つの物語の簡単なあらすじを紹介しつつ、私の感想をお伝えします。

透明人間は密室に潜む

簡単なあらすじ

全身が透明になってしまう謎の病・透明人間病。罹患した彩子は、透明人間病研究の大家・川路昌正教授の殺害を計画していた。彼女が川路教授を狙う理由とは…?そして、計画の行く末は…?

こちらの物語は透明人間が現実に存在するようになった世界のお話です。

透明人間なら誰にも見られないから、事件を起こすなんて簡単じゃないゴマ?

そんな疑問も生まれそうですが、透明人間が存在すると分かっている場合はそう上手くは行きません。

人にぶつかってしまったり、足跡をつけてしまえば、そこに透明人間がいることがバレてしまいます。

この物語はそうした透明人間だからこそ生まれる制約が上手く活かされていました。

 

私の中では4つの物語の中でこの話が1番面白かったです。

最後の最後に明かされた真実には驚くしかありませんでした。

六人の熱狂する日本人

簡単なあらすじ

アイドルグループ『Cutie Girls』のファン同士が起こした事件。裁判員制度で集められた6人は、全員が『Cutie Girls』のファンだった?!脱線に脱線を重ねる裁判員裁判の行きつく先は…?

こちらの物語は裁判員制度とアイドルオタクを掛け合わせたコメディ調のお話です。

コメディ調のミステリは私はどうも好きになれなくて、この作品もその例に漏れないのですが、設定には脱帽させられました。

どうすればこんな設定が思い浮かぶんでしょうね…

 

作者である阿津川辰海さんもあとがきの中で「悪ふざけ」と称しています。

コメディ色の強い話が好きな人にはハマるのではないでしょうか。

盗聴された殺人

簡単なあらすじ

人よりも聴覚の優れた山口美々香と頭のキレる大野糺。探偵として依頼された浮気調査のために仕掛けた盗聴器には、殺人の音声が録音されていた。山口の聴覚を活かして大野は事件を解決しようとするが…。

こちらの物語は聴覚に優れた探偵という一風変わった設定になっています。

これもまた1つの特殊設定ではありますが、このお話は設定だけではなくキャラクターも良いです。

名探偵の隣には常に優秀な助手がいるものですが、特にこの作品はその色が強いです。

なにせ耳を使って情報を集めるのが山口、集めた情報から真実を導き出すのが大野、という形なので自然とお互いを助け合う形になるからですね。

 

魅力的なコンビなのに、これで終わりなんてもったいないと思ってしまいましたが、8/24に発売された『録音された誘拐』はこの2人が主人公です

私はまだ読んでいないのですが、いずれは読んでおきたいですね。

第13号客室からの脱出

簡単なあらすじ

脱出ゲームに参加した猪狩海斗は、同級生のマサルと間違えて誘拐されてしまう。しかし、それはマサルの仕組んだ狂言誘拐だった?!

こちらの物語は脱出ゲームを使ったお話です。

ここ何年かでよく名前を聞くようになった脱出ゲームですが、それを使ったミステリは初めて見ました。

 

早い段階で狂言誘拐と分かってしまうので、ワクワク感やハラハラ感がちょっと少なかったですね。

他の3つの物語と比べると、あまり印象に残りませんでした。

ちなみに脱出ゲームはかなり興味があるのですが、知らない人とチームになるのにビビってなかなか手を出せずにいます…。

 

4つの物語、いずれも作者の設定の作り方の上手さを感じました。

終わりに

ということで、本日は阿津川辰海さんの『透明人間は密室に潜む』を紹介しました。

 

本日はここまで。
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