どうも、ゴマです。
今回は阿津川辰海さんの『紅蓮館の殺人』と『蒼海館の殺人』をネタバレなしで解説していきます。
こちらの作品は、こんな人におススメです。
- 新しいミステリー小説を探している人
- クローズド・サークルが好きな人
- ハラハラドキドキの展開が好きな人
『紅蓮館の殺人』、『蒼海館の殺人』のあらすじ
まずは『紅蓮館の殺人』のあらすじから。
山中に隠棲した文豪に会うため、高校の合宿を抜け出した僕と友人の葛城は、落雷による山火事に遭遇。
救助を待つうち、館に住むつばさと仲良くなる。
だが翌朝、吊り天井で圧死した彼女が発見された。これは事故か、殺人か。
葛城は真相を推理しようとするが、住人や他の避難者は脱出を優先するべきだと語り――。タイムリミットは35時間。
講談社BOOK俱楽部より
生存と真実、選ぶべきはどっちだ。
そして、もう1冊の『蒼海館の殺人』。
学校に来なくなった「名探偵」の葛城に会うため、僕はY村の青海館を訪れた。
政治家の父と学者の母、弁護士にモデル。
名士ばかりの葛城の家族に明るく歓待され夜を迎えるが、
激しい雨が降り続くなか、連続殺人の幕が上がる。刻々とせまる洪水、増える死体、過去に囚われたままの名探偵、それでも――夜は明ける。
講談社BOOK倶楽部より
新鋭の最高到達地点はここに、精美にして極上の本格ミステリ。
『紅蓮館の殺人』、『蒼海館の殺人』のおススメポイント
このシリーズのおすすめポイントは大きく2つ。
1つは、ハラハラドキドキのクローズド・サークルであること。もう1つはシリーズを通して「探偵とはどうあるべきか」という問いかけがあることです。
ハラハラドキドキのクローズド・サークル
シリーズの魅力の1つは事件がクローズド・サークル内で起きること。
とだけ言ってしまうと、「いや、クローズド・サークルなんてよくある話じゃん」と思われる方も多いでしょう。
しかし、魅力とお伝えしている以上、もちろん単純なクローズド・サークルではありません。
このシリーズ、どちらも大きな館に登場人物たちが立てこもる形になるのですが、『紅蓮館の殺人』では山火事による火の手が、『蒼海館の殺人』では嵐による洪水が登場人物たちを襲います。
主人公たちはもちろん、犯人すらも命の危険にさらされる中、事件が発生してしまうのです。
事件の解決と館からの脱出。ハラハラドキドキの展開が読者を待ち受けます。
「探偵とはどうあるべきか」という問いかけ
もう1つの魅力である、「探偵とはどうあるべきか」という問いかけ。
この話をする前に、まずはこのシリーズの主人公たちを簡単に紹介しておきます。
1人目は探偵の葛城輝義。『蒼海館の殺人』のあらすじにあるように、父は政治家、母は学者、兄は警察官、姉はモデルというエリート一家に生まれた高校2年生です。
そんな葛城には特殊能力があり、他人の嘘を見抜くことが出来ます。とはいえ、持って生まれた超能力というわけではなく、本音と建前にまみれた環境で過ごすうちに嘘をつくときの他人の些細な変化に敏感になったことで身についた能力です。
もう1人は助手的なポジションの田所信哉。このシリーズは基本的に彼の視点で描かれています。
小説家志望で葛城の同級生。探偵に対して強い憧れを持っています。
そんな2人は探偵としても人間としてもまだまだ未熟なところも多く、シリーズを通してその成長が描かれます。
「探偵とはどうあるべきか」、事件に立ち向かう中でその答えを探るのです。
『紅蓮館の殺人』、『蒼海館の殺人』の感想
正直な感想を述べると、ミステリー初心者の人にはこの作品はあまりおススメできません。
2作品とも主となる事件の解決と館からの脱出以外にもいろんな要素が散りばめられています。
そのいろんな要素が散りばめられているからこそ、本筋が上手く隠されているとも言えますが、ちょっと追っていくのが難しいように感じます。
ミステリーはこれまであまり読んだことがない…、という人だとちょっと展開の多さに驚いてしまうかもしれません。
個人的にも情報量が多すぎて整理するのが大変だなと感じてしまいました。
ただそれでもクローズド・サークルの作り方だけでなく、解決までの疾走感も非常に面白いです。
展開の多さについていくことが出来れば、一気に読めてしまえる、そんな2作品だと思います。
また、こういったシリーズものだと1作目を読んでなくても2作目を楽しめる作品も多いですが、このシリーズに関しては確実に『紅蓮館の殺人』を読んでから『蒼海館の殺人』を読んだ方が面白いです。
というより、そうしないと『蒼海館の殺人』を読んでいて「よくわからないな」となる箇所がたくさん出てきてしまいます。
まずは是非『紅蓮館の殺人』を手に取ってみてはいかがでしょうか。
本日はここまで。
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