入試をぶっつぶす!
どうも、ゴマ(@gomago_gomago)です。
今回は湊かなえさんの『高校入試』をネタバレなしで解説していきます。
『高校入試』は湊かなえさんが同名のテレビドラマの脚本を手掛けており、その脚本をもとに小説版として刊行された1冊です。
私はドラマは見ていませんでしたが、ドラマを見ていない人でも楽しめる内容になっています。
カドフェス2021にもラインナップされている1冊です。以前のカドフェス2021の記事でも、個人的読みたい作品の第2位に選ばせていただきました。
では、早速詳しく見ていきましょう!
『高校入試』のあらすじ
県下有数の公立進学校・橘第一高校の入試前日。新任教師・春山杏子は教室の黒板に「入試をぶっつぶす!」と書かれた貼り紙を見つける。迎えた入試当日。試験内容がネット掲示板に次々と実況中継されていく。遅れる学校側の対応、保護者からの糾弾、受験生たちの疑心。杏子たち教員が事件解明のため奔走するが……。誰が嘘をついているのか? 入試にかかわる全員が容疑者? 人間の本性をえぐり出した、湊ミステリの真骨頂!
KADOKAWAより
『高校入試』のここが面白い!
『高校入試』の面白いところは、あらすじにも「人間の本性をえぐり出した」と書かれているように、人間の悪い部分、汚い部分が存分に表現されていることです。
本作は様々な登場人物の視点から描かれていますが、誰もが腹に一物を抱えており、誰もが怪しく見えてきます。
その中で誰が入試を潰そうと企んでいるのか…、それがこの作品の1番の見所ではないでしょうか。
湊かなえさんは「イヤミスの女王」と呼ばれることも多いです。
3~4冊しか読んだことはないのですが、どの作品も人間の裏の顔が丁寧に表現されていると感じます。
『高校入試』は入試を通して、教師・生徒・保護者の本性を描いた作品と言えるでしょう。
それだけでなく、この作品では入試制度(というよりも入試に対しての考え方?)も一癖あるのです。
物語の舞台となる県立橘第一高等学校(通称・一高)は県下有数の進学校です。
特に学区内での一高信仰は凄まじく、一高に受かってしまえば万々歳、大学はどこに行こうと一高出身であることがステータスになるレベルです。
物語の中にも、次のようなセリフがあります。
この辺りじゃ、東大よりも一高なんだよ。地元一の進学校、一高に合格すれば親は万々歳。そのあと、東大行こうがプータローになろうが、関係ないの。
だからこそ、保護者は入試に対して躍起になります。
物語の中では同窓会会長の息子や県議の娘も一高を受けており、会長自身や県議の奥さんが権力を振りかざして声を荒げてくるからまた厄介なことになっているのです。
しかもこの一高信仰、生徒や保護者だけにとどまりません。
教員も一高出身者が多く、一高出身という1つの派閥が出来上がっており、一高出身でない先生は肩身の狭い思いをしています。
さらには物語が進むにつれ、入試を妨害しようとしているのは学校内部の人間なのでは…?という疑念が生まれてしまうのだからさあ大変。
入試を無事終了させるという同じ方向を向いていたはずの教員同士がどんどんバラバラになっていきます。
入試を潰そうとした犯人は一体誰なのか…。そして、その目的は一体何なのか…。
最後まで目が離せません。
さて、ここまでは『高校入試』の面白いポイントを述べてきましたが、最後にちょっと気になった点を話していきます。
この作品を読むうえで大変だったなと感じたのが、登場人物が非常に多いこと。
教員、生徒、保護者と物語に絡む主要人物が全部で23人います。
ドラマであれば役者さんの顔で覚えることもできますが、小説となるとそうはいきません。
さらには視点の切り換えも非常に多いので、序盤は登場人物の整理をするだけでも大変でした。
このあたりは元々がドラマの脚本であるが故の弊害なのかな、と思いました。
ということで、本日は湊かなえさんの『高校入試』を解説しました。
登場人物の整理は大変ですが、読み進めてしまえばだんだんそれぞれの登場人物がどういう人なのかがわかってきます。
とても面白かったので、ぜひ皆様も一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
本日はここまで。
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