【書評・感想】『カラスの親指』&『カエルの小指』道尾作品を読むならまずはこれ!ネタバレなしで徹底解説!

ゴマの読書記録

「あのですね、理想的な詐欺はですね、相手が騙されたことに気づかない詐欺なんですよ。それが完璧な詐欺なんです。でも、それと同じことがマジックにも言えるかというと、これが違う。まったく反対なのです。マジックでは、相手が騙されたことを自覚できなければ意味がないのですよ」

『カラスの親指』より

どうも、ゴマ(@gomago_gomago)です。

今回は道尾秀介さんの『カラスの親指』と『カエルの小指』を紹介します。

道尾秀介さんの作品は比較的暗いものが多いですが、今回紹介するこの2冊はそういった暗さを感じさせません。

道尾作品を読んだことがないという人にも自信をもっておススメできる1冊です。

『カラスの親指』あらすじ

人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。やがて同居人は増え、5人と1匹に。「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さない。各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは? 息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。道尾秀介の真骨頂がここに!

講談社BOOK俱楽部より

『カエルの小指』あらすじ

「久々に、派手なペテン仕掛けるぞ」
詐欺師から足を洗い、実演販売士として生きる道を選んだ武沢竹夫に、
訳ありの中学生・キョウからとんでもない依頼が。
母親が残酷な詐欺被害にあったのを境に、厳しい現実を生きることになったキョウ。
武沢は彼女を救うため、かつての仲間を再集結、大仕掛けを計画する。

講談社BOOK俱楽部より

感想

道尾秀介さんの作品を読んだことがないという人にはぜひとも1冊目におススメしたい作品です。

おススメしたいポイントは2つ。

  • 道尾作品の中でも物語の雰囲気が明るい
  • 最後に待ち構えるどんでん返し

 

雰囲気が明るい

道尾作品の特徴として多くの作品が「雰囲気が暗い」です。

主人公や主要な登場人物が心に傷を負っていたり、周りに馴染めていなかったり、例を挙げれば枚挙にいとまがありません。

有名な作品の1つである『向日葵の咲かない夏』を読んだ友人は「元気な時でないと読むべきでない」と評したほど。

 

では、この作品では主人公たちはトラウマを抱えていないのか、と問われるとそうではありません。

本作の主人公・武沢竹夫(タケさん)も借金を抱えて闇金の仕事を手伝わされたりと暗い過去を抱えています。

過去を清算して前を向いて生きているわけでもなく、詐欺を働きながら細々と暮らしています。

 

それでもこの作品に暗さを感じないのは、タケさんとタケさんの相棒であるテツさん、あるいは他の登場人物との珍妙なやり取りがあるからでしょう。

例えば『カラスの親指』の中にはタケさんとテツさんのこんなやり取りがあります。

「テツさん……チャーハンって、英語で何て言うんだ?」
「pilafじゃないですかね」
「ほんとかよ」

こうした思わずクスっと笑ってしまうようなやり取りがたくさん見受けられます。

 

どんでん返し

そして最後にはどんでん返しが待ち構えています。

『カラスの親指』も『カエルの小指』もどちらもタケさんを含めた全員で大きなペテンを仕掛けるのですが、その結末はどちらも予想外。

この展開を見抜けた人はいないのではないでしょうか。

 

私の場合、『カラスの親指』は前情報なしで読んでいたのですが、最後のどんでん返しはとても驚きました。

思わず鳥肌が立ったことを覚えています。

この読書体験があったからこそ、どんでん返しが好きになったと言っても過言ではないでしょう。

 

『カエルの小指』はこれとこれはつながってくるだろうと予想できた部分もありましたが、最後の展開は全く予想できていませんでした。

1つのことに気づいただけでは全貌が見えてこないのが道尾作品のすごさです。

 

「ちょっと都合が良すぎるのでは?」と問われると確かにそうなのですが、そこは物語だからということで。

途中の展開も最後のシーンもとても読みやすく面白いので、道尾作品を初めて読む人にもおススメです。

ということで、本日は道尾秀介さんの『カラスの親指』と『カエルの小指』を紹介しました。

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