「和菓子は、アンがなくっちゃはじまらないんだから」
どうも、ゴマ(@gomago_gomago)です。
今回は坂木司さんの『和菓子のアン』を紹介していきます。
完全にタイトルと表紙につられて読みたくなった作品ではあったのですが、予想以上に面白かったです。
『和菓子のアン』のあらすじ
デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの十八歳。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは? 読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー!
光文社文庫より
『和菓子のアン』の感想
タイトルと表紙に惹かれて購入した1冊ではありましたが、予想以上に面白かった…!
『和菓子のアン』はミステリではあるのですが、ミステリと和菓子というと一見ミスマッチに思われる人も多いのではないでしょうか。
表紙にも美味しそうなお饅頭が描かれており、タイトルからもミステリを匂わせる要素はありません。
『和菓子のアン』はいわゆる「日常の謎」と呼ばれるジャンルのミステリになります。
日常の謎…?ちょっとよくわからないゴマね…。
日常の謎は殺人のような事件は起こらず、日常生活におけるふとした謎に焦点を充てた作品を総称してそのように呼びます。
日常の謎の代表例として、米澤穂信さんの<古典部>シリーズ、三上延さんのビブリア古書堂の事件手帖などがあげられます。
日常の謎は大きな事件は基本的には起こらないため、ハラハラドキドキという展開になることは少ないです。
「ミステリは読みたいけど、人がどんどん死んでいく作品はちょっと…」という人にはこの日常の謎を扱う作品はおススメです。
『和菓子のアン』も終始ほのぼのとした雰囲気で展開されますが、その中で不思議な出来事に遭遇します。
例えば…
- 日持ちしない上生菓子をどうしても6時間かかる場所まで運びたいという客
- 辻占(※)に入れこまれた謎のメッセージ
※「辻占」は菓子の中に吉凶が書かれた紙を挟んだもの。
こうした謎を和菓子に秘められたストーリーや込められた意味に触れながら解決していきます。
和菓子についての知識も増え、和菓子の魅力が伝わる作品になっています。
そして『和菓子のアン』の魅力はその登場人物のキャラクター性にもあります。
どの登場人物も魅力あるキャラクターになっています。
『和菓子のアン』に主に登場するのは4人。
- 食べることが大好きなぽっちゃり系主人公、アンちゃんこと梅本杏子
- 上品そうな雰囲気をまといながら、中身はおっさんの椿店長
- イケメンで仕事もバリバリできるのに、中身は乙女な立花さん
- 元ヤンの女子大生、桜井さん
キャラの濃い登場人物が多いですが、誰もが良い味を出しているので物語が面白くなっています。
謎自体もシンプルなものが多く、ほのぼのとした雰囲気が続くので非常に読みやすい1冊です。
読めば和菓子のことが好きになること間違いなしなので、是非手に取ってみてはいかがでしょうか。
『和菓子のアン』はシリーズ化しており、2作目の『アンと青春』、3作目の『アンと愛情』も発売されています。
私もまだ読めてはいませんが、機会があるときに是非読んでみたいものです。
本日はここまで。
Twitterもやっています。良ければフォローお願いします。
コメント