『硝子の塔の殺人』書評・感想。ミステリを愛するすべての人へ送られる、本格ミステリ!

ゴマの読書記録

当作の完成度は、一斉を風靡した
わが「新本格」時代のクライマックスであり、
フィナーレを感じさせる。今後このフィールドから、
これを超える作が現れることはないだろう。

島田荘司

どうも、ゴマ(@gomago_gomago)です。

今回は知念実希人さんの『硝子の塔の殺人』をネタバレなしで紹介していきます。

この作品は、作者の知念実希人さんの作家デビュー10周年を記念して書かれた作品です。

基本的に文庫版しか買わない私が、1か月ぶりに単行本で購入してしまいました。
(そもそも最近は全てKindle版なのですが、文庫化するとKindle版も文庫本ぐらいの値段になるので文庫版・単行本という言い方をしています。)

文庫版派の私がどうして単行本で購入したのかと言いますと、書店に行った際にこんなフリーペーパーがあったからです。

そうそうたる面々からのコメント。

これだけのコメントがあれば気にならないわけがありません。

文庫版を待てるはずがなく、「即買わねば…」と思ってAmazonでポチりました。

 

では早速、詳しく見ていきましょう!

『硝子の塔の殺人』のあらすじ

雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。
地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。
ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、
刑事、霊能力者、小説家、料理人など、
一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。
この館で次々と惨劇が起こる。
館の主人が毒殺され、
ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。
さらに、血文字で記された十三年前の事件……。
謎を追うのは名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬。
散りばめられた伏線、読者への挑戦状、
圧倒的リーダビリティ、そして、驚愕のラスト。
著者初の本格ミステリ長編、大本命!

実業之日本社より

『硝子の塔の殺人』はここが面白い!

『硝子の塔の殺人』の魅力は、まずは何といってもその舞台設定でしょう。

奇妙な建造物、クローズド・サークル、多種多様な登場人物、異色の名探偵。

本格ミステリの定番をこれでもかと詰め込んだといっても過言ではないかもしれません。

 

奇妙な建造物

『硝子の塔の殺人』の舞台はタイトルにもある通り、硝子の塔です。

全方位が硝子に囲まれているだけでなく、塔は尖塔になっており階上に行くほど細くなっている構造になっています。

「これは絶対、何か仕掛けがあるな」と思ってしまうような見た目ですね。

 

クローズド・サークル

そして、このような舞台につきものなのがクローズド・サークル。

例にもれず、この作品もクローズド・サークル、人里離れた雪山で雪崩によって外界から遮断されます。

このあたりはベタ中のベタという感じですが、ベタだからこその良さもありますね。

 

異色の名探偵

逆にベタでないところと言えば、名探偵のキャラクターでしょうか。

『硝子の塔の殺人』に登場する探偵は、碧月夜という名前の女性です。

男装・無類のミステリ好き・空気を読まない言動。

特にミステリ好きであることは随所に示され、話しているうちにミステリ論に脱線していくこともしばしば…。

かなりの変わり者という印象は受けますが、どこか憎めないキャラだと思いました。

 

『硝子の塔の殺人』感想

端的に感想を述べれば、「やられたなあ」あるいは「とんでもねえ」でしょうか。

途中までは本当に普通のミステリにしか見えないです。

事件が起きて、探偵が調査をして、推理をする、という至極普通のミステリ。

「そうそうたる面々の評価の割には、普通の話だぞ…。このまま終わっちゃうの…?」と不安になりましたが、もちろんそんなことはありませんでした。

衝撃的な展開に鳥肌が立ちました。

 

最近はどんでん返しが含まれる小説をかなり読み漁ってきたと自負していることもあり、「ここ怪しいな、ミスリードさせようとしているな、と察せるようになってきたなあ」などと思っていましたが、『硝子の塔の殺人』は全く分かりませんでしたね。

言われてみれば確かに違和感を覚えた気もする箇所もありますが、全く察することができませんでした。

やはりどんでん返しは奥が深いです。

 

文句なしで面白かったのですが、あえてケチをつけるとしたら動機が弱いことでしょうか。

とはいえ、ここは仕方がない部分かなと思います。

ネタバレになってしまうので、多くは語れませんが…。

 

読む前からとても期待値が高い作品ではありましたが、それを簡単に超えられてしまいました。

今年度読んだ作品の中でも、1・2を争うレベルで面白かったと感じています。

いろんな人におススメしたい作品なので、ぜひ皆様も手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

ということで、本日はここまで。

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