「告訴者は、自己の身に降りかかった被害を罪という形で特定した上で、必要な証拠調べを請求して、罪を犯した人物を指定する。審判者が抱いた心証と告訴者の指定が一致した場合は、犯人は罰を受ける。両者の間に齟齬が生じた場合は、無辜の人間に罪を押し付けようとした告訴者自身が、罰を受けることになる」
どうも、ゴマ(@gomago_gomago)です。
今回は五十嵐律人さんの『法廷遊戯』を紹介します。
第62回メフィスト賞を受賞したこちらの作品、2022年5月現在KindleUnlimitedで利用可能です。
非常に面白い作品でした。たくさんの人に読んでほしい1冊です。
『法廷遊戯』あらすじ
法律家を志した三人の若者。 一人は弁護士になり、一人は被告人になり、一人は命を失った──謎だけを残して。
法曹の道を目指してロースクールに通う、 久我清義(くがきよよし)と織本美鈴(おりもとみれい)。二人の“過去”を告発する差出人不明の手紙をきっかけに、 彼らの周辺で不可解な事件が続く。清義が相談を持ち掛けたのは、異端の天才ロースクール生・結城馨(ゆうきかおる)。真相を追う三人だったが、それぞれの道は思わぬ方向に分岐して──?
講談社より
『法廷遊戯』感想
『法廷遊戯』という作品を一言で表すとすると、「面白い」や「素晴らしい」よりも「恐ろしい」という感想が真っ先に出てくるでしょうか。
ネタバレになるので結末を語ることはありませんが、それだけ最後の展開は衝撃的でした。
この物語の中心となるのは、法曹の道を目指す3人の男女。久我清義、織元美鈴、結城馨の3人。
清義と美鈴の2人の過去を告発する手紙から物語は始まり、徐々に不穏な空気が立ち込めていきます。
ところが、過去の告発は中途半端なところで止まってしまい、モヤモヤしたまま2人はロースクールを修了。
そして今後の道を決めようというさなか、事件は起こりました。
馨に呼び出された清義は、ロースクール時代によく利用した1つの教室に向かいます。
教室に入った清義の目に飛び込んできたのは、法服を真っ赤に染め倒れる馨と全身を赤く染めた美鈴の姿。
明らかに美鈴が馨を殺したと思われる場面ではありますが、美鈴の「私は殺していない」という言葉を受け、清義は美鈴の弁護人を引き受けます。
果たしてこの事件に隠された真実とは、いったいどのようなものなのでしょうか…。
2人の間に何があったゴマ…?
事件の結末は実際の本を手に取ってその目で確かめてほしいのですが、解決のカギとなるのは清義と美鈴の2人の過去。
馨の死と2人の過去がどのようにつながっていくのか。
いろんな思惑が重なった真実が明らかになっていく様子は正に圧巻です。
後味の良い作品ではありませんが、後味の悪さを加味しても非常に面白い作品でした。
難しい法律用語もちょこちょこ出てきますが、気になるほどではありません。
終わりに
ということで今回は五十嵐律人さんの『法廷遊戯』を紹介しました。
法律の専門家が書いているだけあって、裁判の様子もかなり詳しく描かれています。
この作品で初めて五十嵐律人さんの作品を手に取ったのですが、別の作品も読んでみたいと思いました。
本日はここまで。
Twitterもやっています。良ければフォローお願いします。
コメント